ITエンジニアの仕事に就くためには、専門的な技術や知識が無ければ始まりません。会社勤めにせよ、与えられる仕事に取り組む上で、必要不可欠なものだからです。しかしその仕事に取り組むという点において、プロジェクトマネジメントのスキルも、同じくらいに重要であることは見落されがちです。
例えばその仕事というのが、ソフトウェア開発であれば、その中でも自分が担当するモジュールに関する限り、設計から製造、そして評価までを自分一人で担当することになります。すなわち小さくても一つのプロジェクトの完成に責任を負うわけです。しかし頭の中にあるものを形にする過程というのは、開発担当者の裁量が大きく働くため、中々外から見ることが難しいものであり、従ってその進捗を管理するということも、やはり難しいものなのです。
この外からは見えにくいものを扱うエンジニアの仕事においては、そうであるが故に、無理難題を吹っかけられることが少なくありません。特にこれまでのような、どんぶり勘定でIT投資にお金を掛けられた牧歌的な時代が過ぎ去り、費用対効果を厳しく問われる時代になりつつある今、納期も予算も人員も削られて、これまで以上に厳しい条件を呑まざるを得ないような環境の中で、「NOと言えるエンジニア」になるためには、相手にそれを納得させられるだけの根拠を示して、反論する必要があります。
エンジニアの中には、口下手で人との議論が苦手という人も少なくありませんが、自分の仕事に責任を持つためには、言うべきことを言わなければなりません。これはエンジニアであれば、なんとなく感覚で知っているような経験知を、まったくの畑違いの素人に、言葉で伝えなければならないということです。
つまり「なぜその要求が無理なのか」「要求通りにすれば、どのようなデメリットがあるのか」「その要求を満たすためには、代わりにどのような手があるのか」などを、分からず屋のマネジャー相手に伝えるためには、相手を見て、相手がどのような人間なのかを判断し、そのような相手に正確に伝わるような言葉や話し方を適切に選ぶ必要がありますし、その前提として、そのプロジェクトにまつわる原理原則やタブーを、誰よりも深く理解している必要があるのです。それは部分最適から全体最適へと、これまでの視点を大きく変えなければならないプロジェクトマネジャーに、自分が突然任命された時にも大いに役立ちます。
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