会計の知識は、現代のビジネスマンであれば、誰もが身に付けておきたい重要なビジネススキルです。とはいうものの、経理部門の人間とは、言葉が通じないと感じる人も少なくありません。特に自分の専門分野の技術や知識の習得に忙しいエンジニアにとって、細かな数字は見る気もしないかもしれません。
しかしビジネススキルとしての会計の知識に、細かな数字や分類などは必要ありません。むしろ大雑把に「儲かっているのか」「倒産する恐れが無いのか」「経営の改善点はどこにあるのか」などといった点を、ざっくりと掴むことができればそれで良いのです。
まず会社の決算書類である、貸借対照表(Balance Sheet)は、右側に資金の調達源泉を、そして左側にはその運用形態を表しており、また会社が抱えている資産や負債や資本の、期末時点における残高を一覧にした表ともいえます。一方の損益計算書(Profit and Loss Statement)とは、一年間における収益と費用を集計したものであり、「経営の成績表」とも言われています。この貸借対照表や損益計算書の数字を読むにあたって、例えば「流動性配列」や「ワンイヤールール」や「内部留保」といった専門用語が出てきます。
これらは大雑把とはいえ、会社にとって基本的な情報を表す数字を理解し、会計士や税理士などの専門家と実のある議論をするためにも、理解しておくことが重要です。
貸借対照表と損益計算書の他に、重要なものがキャッシュ・フロー計算書です。これは企業活動の中でも特に、現金の支払いと受け取りという点だけを捉えたものであり、一会計期間におけるキャッシュ・フローの流れを、営業活動・投資活動・財務活動という3つに区分して表記します。会社が「黒字倒産」するというのは、一見すると不可解なことのようですが、実は損益計算書上では利益が計上されていて黒字であるにもかかわらず、手元に現金が不足することによって資金繰りに行き詰まってしまう状態を指すのであり、このように会社の経営状態を正確に掴むためには、現金の流れも重要なのです。
なお経営の分析のためには、税務上や法律上求められる他にも、より詳しい数字を使って財務関係の内部資料を作成するのが通常であり、これを管理会計と呼びます。
このような経理畑以外の人ではあまり馴染みのない数字の世界も理解する必要があります。
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